2005-08

第2話 『ロッカールーム』

 「相手のチームって強いんですか?」ワッタは眠そうな声でそう言って、くわえた煙草に火をつけた。
 誰か誘おうと思って思いついたのが前のバイトで少しだけ一緒に働いていたワッタだった。すげぇ仲良しってほどの仲にはなってなかったけど、飲み会のときにサッカーの話で盛り上がったのを憶えていたから。
 「分からん、社会人リーグでやってるチームらしいけど」
 「こっちのチームは?」
 「けっこう初心者ばっかりって言ってたから…微妙じゃないかな」
 「ヤバそうですね…」
 お互いまだ距離感が分からない感じで、ワッタと俺の会話はぎこちなかった。高校を卒業したばっかりのワッタと俺とでは歳も結構離れているから仕方ないといえば仕方ない。
 「今って調理師の学校だっけ?楽しい?」
 「楽しくはないっすね、実習以外はほとんど寝てます」
 「マジか…やっぱり専攻は中華なの?」
 「そうっすね、中華しか考えてないんで」
 中華料理のレストランが前のバイト先だった。ワッタは今もそこでバイトしている。ヒョロっとしてやる気なさそうなのに仕事はしっかりできる。そんな子。
 途中、道に迷って若干遅刻気味だったけど、グランドに着いた時にはまだメンバーは揃っていなかった。
 「助っ人連れてきたから」先に着いていたリョウスケにワッタを紹介して、何年かぶりに納戸の奥から引っ張り出してきたスパイクに履き替える。中学の時に使っていたスパイクだったけど、サイズはピッタリ、ジャストフィットだった。
 座って靴紐を結びながら、ところどころ芝の剥げたグランドを眺めていた。
 「マジ久しぶりでテンション上がってきました」そう言ってワッタは立ち上がり、持ってきたボールで軽くリフティングを始めた。柔らかくて繊細なタッチ、見てすぐにかなり巧いと分かるぐらい。
 「よし、アップしようぜ!」
 はしゃいでるガキみたいに、俺とワッタ待ちきれない様子でグランドに飛び出した。二人とも足元のスパイクは今にも穴が開きそうなぐらいボロボロで、放課後毎日一緒に遊んでるみたいな、なんだかそんな懐かしい感じがした。


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K・J・TAKE

Author:K・J・TAKE
実話から生まれた物語。
色んな奴らが集まって誕生したサッカーチーム『アズレプ』の愛と感動?の日々。

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