第10話 『怯えるウサギと震えるカメ』
相手チームのナイキ製、オランダ代表もどきのオレンジ色したユニフォームに比べて、同じナイキ製だけど、俺たちの緑色のビブスはなんだか滑稽に思えた。結婚式にTシャツで挑む気分。
初めての試合にみんなの表情は硬かった。よっPやケン、マサやマッチョなんかにとっては人生で初めてのサッカーの試合だから無理も無いんだけど。
「たいしたことないですよ、絶対勝てますって」ケイタの連れてきた後輩、ユアサはそう言って怯えるウサギたちを勇気づけた。ついこないだまで現役だっただけに頼もしい。まだ高校2年生なんだけど、部活は監督と喧嘩して辞めたらしい。イタズラ好きの小学生みたいな奴。
100均で買ってきたホワイトボードを使ってフォーメーションをみんなに説明する。最初はアッチの意見を尊重して守備的な布陣で臨むことにした。
GKマサ。サイドバックは右にケン、左にマッチョ。センターバックはアタルとユアサ。ボランチはダブルボランチでアッチとケイタ。右のMFに俺、左にタクちゃん。ワントップがよっP。10人でやるので4−4−1のシステム。
相手チームは審判を一人出してもまだ余るぐらいの人数。アズレプはギリギリ。買ってきたキャンプ用の簡易ベンチの上には荷物だけ。
「そろそろ、やりましょう!」お互いに軽いアップを済ませて、ついにアズレプ初の練習試合が始まった。
前半開始3分、多分みんな頭の中は真っ白。右、左に振られてからセンターへ、相手チームの14番のシュートは当りそこなってコロコロとGKマサの前へ。
「オーケー」そう言ってマサは余裕でボールを掴んだかに見えた。だがボールはマサの股をぬけてそのままゴールまで…いきなりの失点。トンネル。
「ウソだろ…」きっと誰もがそう思った。
一方的な試合になった。上がりすぎてる両サイドバックの裏をガンガン狙われ、センターバックが引きずり出される。ボランチのアッチはDFラインに吸収されるぐらい下がり目で、元々サイドハーフのケイタは右に開きすぎ、ポッカリ空いた中盤を相手に完全に支配されてしまった。
なんとかそれでもアタルとユアサが頑張っていたんだけど、前半10分、今度は完璧にサイドを崩されて失点。続く13分にも中央からのミドルシュートで追加点を取られた。
そして前半21分、フワフワと飛んできたボールをキャッチしようとしたマサが、それを後ろに逸らしてしまい…4点目。
こんなはずじゃなかった。攻撃もパスが上手くつながらずに形にならない。まだ一回しか揃って練習したことがないだけに連携もクソもない。
30分ハーフの前半が終わって、スコアは0−4。座り込んだウサギたちは汗でずぶ濡れ。なかでもGKのマサが一番疲れた顔をしていた。誰もミスを責めることはしなかったんだけど。
「兄ちゃん、なにカメみたいに縮こまってるの!?完全にカメじゃん!」弟のケンだけは遠慮なくマサのミスをからかった。多分、ケンに言われるのがマサには一番堪えるだろう。
「このままじゃヤバイぞ、どうする?」俺の言葉にアッチはホワイトボードを取り出してポジションの修正。
「攻めましょう!このままじゃヤラれるだけです」考え込むアッチにケイタがそう言った。確かにもう攻めるしかない。
ボランチをアッチ一枚にして、ケイタを右サイドに、俺がトップに上がることにした。4−3−2、攻めの枚数を増やすしか方法はなかった。
このままじゃ終われない。

★後半戦に臨むアズレプに愛のワンクリックを…★
初めての試合にみんなの表情は硬かった。よっPやケン、マサやマッチョなんかにとっては人生で初めてのサッカーの試合だから無理も無いんだけど。
「たいしたことないですよ、絶対勝てますって」ケイタの連れてきた後輩、ユアサはそう言って怯えるウサギたちを勇気づけた。ついこないだまで現役だっただけに頼もしい。まだ高校2年生なんだけど、部活は監督と喧嘩して辞めたらしい。イタズラ好きの小学生みたいな奴。
100均で買ってきたホワイトボードを使ってフォーメーションをみんなに説明する。最初はアッチの意見を尊重して守備的な布陣で臨むことにした。
GKマサ。サイドバックは右にケン、左にマッチョ。センターバックはアタルとユアサ。ボランチはダブルボランチでアッチとケイタ。右のMFに俺、左にタクちゃん。ワントップがよっP。10人でやるので4−4−1のシステム。
相手チームは審判を一人出してもまだ余るぐらいの人数。アズレプはギリギリ。買ってきたキャンプ用の簡易ベンチの上には荷物だけ。
「そろそろ、やりましょう!」お互いに軽いアップを済ませて、ついにアズレプ初の練習試合が始まった。
前半開始3分、多分みんな頭の中は真っ白。右、左に振られてからセンターへ、相手チームの14番のシュートは当りそこなってコロコロとGKマサの前へ。
「オーケー」そう言ってマサは余裕でボールを掴んだかに見えた。だがボールはマサの股をぬけてそのままゴールまで…いきなりの失点。トンネル。
「ウソだろ…」きっと誰もがそう思った。
一方的な試合になった。上がりすぎてる両サイドバックの裏をガンガン狙われ、センターバックが引きずり出される。ボランチのアッチはDFラインに吸収されるぐらい下がり目で、元々サイドハーフのケイタは右に開きすぎ、ポッカリ空いた中盤を相手に完全に支配されてしまった。
なんとかそれでもアタルとユアサが頑張っていたんだけど、前半10分、今度は完璧にサイドを崩されて失点。続く13分にも中央からのミドルシュートで追加点を取られた。
そして前半21分、フワフワと飛んできたボールをキャッチしようとしたマサが、それを後ろに逸らしてしまい…4点目。
こんなはずじゃなかった。攻撃もパスが上手くつながらずに形にならない。まだ一回しか揃って練習したことがないだけに連携もクソもない。
30分ハーフの前半が終わって、スコアは0−4。座り込んだウサギたちは汗でずぶ濡れ。なかでもGKのマサが一番疲れた顔をしていた。誰もミスを責めることはしなかったんだけど。
「兄ちゃん、なにカメみたいに縮こまってるの!?完全にカメじゃん!」弟のケンだけは遠慮なくマサのミスをからかった。多分、ケンに言われるのがマサには一番堪えるだろう。
「このままじゃヤバイぞ、どうする?」俺の言葉にアッチはホワイトボードを取り出してポジションの修正。
「攻めましょう!このままじゃヤラれるだけです」考え込むアッチにケイタがそう言った。確かにもう攻めるしかない。
ボランチをアッチ一枚にして、ケイタを右サイドに、俺がトップに上がることにした。4−3−2、攻めの枚数を増やすしか方法はなかった。
このままじゃ終われない。
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