第14話 『ある雨の日』
その日は朝から雨だった。
せっかくの土曜日だってのに天気予報が大当たり。窓を叩くぐらい強く降ったり、ポチャンポチャンと柔らかく降ってみたり、とにかくずっと雨。止む気配は全くなかった。
ちょっとぐらいの雨なら大丈夫だと思ったんだけど、さすがに朝からずっとの雨じゃ、グランドがぐちゃぐちゃになってて使えそうにない。せっかく何回かの練習でチームはイイ感じに馴染んできたのに。
休憩中、ご飯を買いに近くのコンビニまで、朝よりはだいぶマシになってはいたけど、やっぱり雨。おにぎりとお茶を買って休憩室に戻ると、出るときはいなかったユミが休憩に入っていた。
「おっ、ユミも休憩か」
「はい、今入ったばっかりですよ」幸せそうにお弁当を食べながら、ユミは人懐っこい笑顔を見せた。ユミは高校を卒業したばかりの19歳。ポッチャリとした感じで、けっこう可愛らしい顔をしている。東京の大学に行った彼氏のトコに行くためにお金を貯めてるフリーター。
「そう言えばさ、ケイタってユミの後輩だろ?あいつってなんで部活でサッカーやってないの?」ふと気になって聞いてみた。あれだけサッカー好きな奴が部活に入ってないなんて不思議な話だ。
「ケイタは2年生から編入してきたんですよ、そのまえは室蘭の高校に行ってたみたいで…」
「室蘭って…あの室蘭?」室蘭といえば北海道で1番有名なサッカーの名門校だ。
「そうですよ、でも練習で怪我したらしくて、辞めて帰ってきたんですよ。編入してきてから部活にも一応入ったんですけど、怪我で練習とかもあんまりできなくて」
「そっか…」話しを聞いてなんだか納得。確かに、怪我でもしない限りあいつがサッカーをやめるなんて有り得ない。ずっとサッカーができなかった分、今は楽しくてしょうがないんだろう。だからきっといつも笑ってるんだ。
バイトが終わって家に帰る。雨はまだ降り止まない。
いきなり予定がなくなったから、特にすることもなくテレビを点けてボーっとする。チャンピオンズリーグのダイジェストを眺めてて、気が付いたら7時になっていた。そういえば雨で使用しないときも管理人さんに連絡してくれって言われてたのを思い出し、慌てて学校に電話をかけた。
「どうも…雨がちょっとヒドいんで今日は練習中止しにしますね」
「おう、そうか。あ、でも、もう誰か来てたぞ…」管理人さんに言われて俺はまさかって思った。この雨の中で練習しようなんて奴は…1人だけいた。電話を切ってからすぐにケイタの携帯を鳴らしてみたけど、ケイタは電話に出ない。
急いで着替えてから車を走らせた。
学校に着くと、グランドにはびしょ濡れになりながらボールを蹴っているケイタの姿。俺は半分呆れた顔でグランドに。
「おはようございます!やっぱりこの雨だとみんな来ないですね」泥だらけになりながら微笑むケイタ。俺がもしサッカーの神様だったら、嬉しくて抱きしめてやっただろうに。
「ホントにおまえは…」言いかけてから苦笑いして、俺もスパイクに履き替えた。雨なんてもうどうでもいい。「よし、やるか…」
2人でずぶ濡れになりながらボールを蹴っていたら、しばらくしてフザケるなってぐらい強烈な雨。さすがに限界を感じ、大急ぎで車に駆け込んで避難した。
「止まないですかね…」窓の外を眺めてボソッと呟いたケイタを見て、俺はおかしくって声を出して大笑いした。サッカーが好きとかそういうレベルじゃない。
こいつはアズレプの魂だ。

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★次回第15話 9/20UP予定です★
せっかくの土曜日だってのに天気予報が大当たり。窓を叩くぐらい強く降ったり、ポチャンポチャンと柔らかく降ってみたり、とにかくずっと雨。止む気配は全くなかった。
ちょっとぐらいの雨なら大丈夫だと思ったんだけど、さすがに朝からずっとの雨じゃ、グランドがぐちゃぐちゃになってて使えそうにない。せっかく何回かの練習でチームはイイ感じに馴染んできたのに。
休憩中、ご飯を買いに近くのコンビニまで、朝よりはだいぶマシになってはいたけど、やっぱり雨。おにぎりとお茶を買って休憩室に戻ると、出るときはいなかったユミが休憩に入っていた。
「おっ、ユミも休憩か」
「はい、今入ったばっかりですよ」幸せそうにお弁当を食べながら、ユミは人懐っこい笑顔を見せた。ユミは高校を卒業したばかりの19歳。ポッチャリとした感じで、けっこう可愛らしい顔をしている。東京の大学に行った彼氏のトコに行くためにお金を貯めてるフリーター。
「そう言えばさ、ケイタってユミの後輩だろ?あいつってなんで部活でサッカーやってないの?」ふと気になって聞いてみた。あれだけサッカー好きな奴が部活に入ってないなんて不思議な話だ。
「ケイタは2年生から編入してきたんですよ、そのまえは室蘭の高校に行ってたみたいで…」
「室蘭って…あの室蘭?」室蘭といえば北海道で1番有名なサッカーの名門校だ。
「そうですよ、でも練習で怪我したらしくて、辞めて帰ってきたんですよ。編入してきてから部活にも一応入ったんですけど、怪我で練習とかもあんまりできなくて」
「そっか…」話しを聞いてなんだか納得。確かに、怪我でもしない限りあいつがサッカーをやめるなんて有り得ない。ずっとサッカーができなかった分、今は楽しくてしょうがないんだろう。だからきっといつも笑ってるんだ。
バイトが終わって家に帰る。雨はまだ降り止まない。
いきなり予定がなくなったから、特にすることもなくテレビを点けてボーっとする。チャンピオンズリーグのダイジェストを眺めてて、気が付いたら7時になっていた。そういえば雨で使用しないときも管理人さんに連絡してくれって言われてたのを思い出し、慌てて学校に電話をかけた。
「どうも…雨がちょっとヒドいんで今日は練習中止しにしますね」
「おう、そうか。あ、でも、もう誰か来てたぞ…」管理人さんに言われて俺はまさかって思った。この雨の中で練習しようなんて奴は…1人だけいた。電話を切ってからすぐにケイタの携帯を鳴らしてみたけど、ケイタは電話に出ない。
急いで着替えてから車を走らせた。
学校に着くと、グランドにはびしょ濡れになりながらボールを蹴っているケイタの姿。俺は半分呆れた顔でグランドに。
「おはようございます!やっぱりこの雨だとみんな来ないですね」泥だらけになりながら微笑むケイタ。俺がもしサッカーの神様だったら、嬉しくて抱きしめてやっただろうに。
「ホントにおまえは…」言いかけてから苦笑いして、俺もスパイクに履き替えた。雨なんてもうどうでもいい。「よし、やるか…」
2人でずぶ濡れになりながらボールを蹴っていたら、しばらくしてフザケるなってぐらい強烈な雨。さすがに限界を感じ、大急ぎで車に駆け込んで避難した。
「止まないですかね…」窓の外を眺めてボソッと呟いたケイタを見て、俺はおかしくって声を出して大笑いした。サッカーが好きとかそういうレベルじゃない。
こいつはアズレプの魂だ。
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