2005-09

第17話 『勢い良く。勢い良く…』

 「ユアサ、ボランチに上がれ!アタル任せたぞ!」アッチの指示で最終ラインは3枚に、ユアサを前に上げてダブルボランチにして、ケイタとタクちゃんの守備の負担を減らす。俺もそれに伴って本来のトップ下の位置まで上がった。普段は守備の意識の強いアッチだけど、1失点したことでガラッと攻撃的になる。こいつもなに気に負けず嫌いだ。
 1枚減ったDFラインの裏を何度も狙われたけど、持ち前の運動量とスピードで、アタルがなんとかソレを食い止め続けた。
 「ライン上げよう」取り返すとアタルは声を出して、ズルズルと下がりっぱなしになったDFラインを修正する。
 俺はボールを追っかけまわして前線からプレッシャーをかけた。相手が苦し紛れのパスを出せば、ケイタとタクちゃんがそれを奪う。
 「逆サイド!タクちゃんフリーだ!」上手い具合にケイタがボールを奪った瞬間、左サイドのタクちゃんが相手DFの裏を取ってフリーに。よっPの声でそれに気が付いたケイタは狙いすましたロングボールを送った。
 全速力で走りながら、タクちゃんは送られてきたボールをつま先で軽く触ってトラップ、しなやかなタッチで完全にボールの勢いを殺した。
 「マジかよ!?」あまりに芸術的なボールコントロールに思わず声が漏れた。まるでベルカンプだ。シュートは残念ながらバーの上に外れたけど、そのワンプレーには相手の選手からも賞賛の声。
 前半24分、今度はケイタが魅せた。右サイドでパスを受けると、そのままドリブルで持って上がり中に切り込む、DF2人を抜き去ってから強烈なミドルシュート、GKは全く反応できなかったけど、惜しくもボールはポストに嫌われて弾き返された。
 完全に流れがきていた。
 そして前半29分、ケイタが右サイドをえぐって上げたクロス。よっPと相手DFの頭を越えて逆サイドに流れたボールをタクちゃんがダイレクトでシュート、GKがなんとか弾いたボール、つめていた俺はなんなくゴールに押し込んだ。
 相手ベンチの黄色い悲鳴と、ウサギたちの歓喜の叫び。小さなガッツポーズ、ほとんどタクちゃんの得点みたいなもんだけど。走って自陣まで戻る、まだまだ攻め足りない。今なら何点だって取れそうな気がする。
 …なのに、ここで前半終了の笛。

 「絶対逆転できるぞ!」みんな汗だくで疲れきってたけど、テンションはガンガン上がってた。肩で息をしながら再度ポジションを確認。ドリンクを飲めるだけ喉に流し込んで、勢い良くピッチに散らばって後半戦に臨む。
 後半もアズレプは攻め続けた。何度もサイドを基点に相手DFを崩すんだけど、フィニッシュの精度を欠いて得点を奪えない。俺、ケイタ、よっPとつないで最後はタクちゃんへ、前に出たGKの動きを見て冷静に放たれたループシュートも、ゴール寸前のところでDFに掻き出されてしまった。
 メンバーを何人か入れ替えてきた相手に対して、10人丁度しかいないアズレプ。しだいに疲れから足が止まり、なかなかボールを拾えなくなる。攻め込まれる時間帯、ズルズルと押し込まれ始めたDFライン。
 後半20分、早めに入れられた相手のロングボールをアタルがヘディングでサイドにクリア、そのボールがケンの目の前へ。逆サイドのタクちゃんまで届かせようと、ケンは渾身の力を込めて右足を振りぬいた。
 「ぐふっ…」蹴られたボールは狙いを大きく逸れて、勢い良くアタルのみぞおち辺りにヒット…お腹を押さえて苦しがるアタルを尻目に、こぼれたボールを拾った相手のFWがカメと1対1になり、冷静にゴール右隅に蹴りこんだ。
 痛恨の失点。最後まで諦めずに攻め続けたものの、ゴールを割れぬままゲームセット…
 黄色い歓喜の声の中、アズレプ2度目の敗北。まさかの2連敗。



★またも敗戦を喫してしまったアズレプですが…応援よろしくです★
☆そんなアズレプに声援を…サポーター・マネジャー募集中です。笑☆
 
 
  

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K・J・TAKE

Author:K・J・TAKE
実話から生まれた物語。
色んな奴らが集まって誕生したサッカーチーム『アズレプ』の愛と感動?の日々。

初小説ですけど頑張って書いていこうと思います!
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