第19話 『真昼間の河川敷』
休日の日はいつも、DVDを借りてきたり、映画館にいったり、見逃したサッカーの試合の再放送を観たりしてマッタリと過ごすんだけど、その日は昼間っからよっPに呼び出されて河川敷に行った。もちろん2人ともジャージ姿にスパイクとボールを持って。
「小学生みたいだな俺ら」
「休日にサッカーしに河川敷くる20代も珍しいよな」
そう言いながらもけっこう真面目に練習。よっPはこないだの試合で自分の基礎の出来てなさに腹が立ったらしく、俺と休みが重なったらコッソリ2人で練習をしようと狙っていたみたいだ。
「とりあえずポストプレー出来るようになりたい」あまり足が速くなく、走りこむ体力も微妙ってことで、よっPはまずポスト役をこなそうと考えた。初心者のわりに足元は意外と上手い、長所を活かす作戦ってわけ。
「まずボールをしっかりと足元におさめることから、トラップの練習だな」強いボール、弱いボール、浮き球、どんなボールでもしっかりと自分のボールにできるように何度も繰り返し練習。ある程度出来るようになったら今度は来たボールをダイレクトで相手に返す。
かなりの長い時間、ずっと同じ練習ばっかりやっていたけど、全然飽きなかった。よっPがちょっとずづだけど確実に上手くなっていくのが嬉しくて楽しくて。
「そろそろ休憩しよっ」そう言って俺はよっPからのパスをトラップすると見せかけ、股を通してから右足インサイドに当てて方向転換、勢い良く反転してからボールを錆びてボロボロのゴールに打ち込んだ。
「イイなソレ!もう1回やってみて」
何度か手本を見せると、今度はよっPが挑戦。なんとかシュートまではもっていけるんだけど、ギコチない自分の動きによっPは不満そうな顔をした。
河川敷の階段に腰を下ろし、スポーツドリンクを飲みながら、芝なんだか土なんだか分からないようなボコボコのグランドを眺めて一服。汗をかいて火照った体に冷たい風が気持ちよかった。
「ココってアレだよな、花火した時だっけ?」なんだか遠い目をしながらよっPはセブンスターに火を点けた。
「あぁ、よっPが携帯破壊されそうになったトコだよな」ちょっと昔を思い出して苦笑い。
花火の時に元カノと喧嘩して、よっPは携帯を地面に思いっきり叩きつけられた、夏の始まりの頃。メールを見られて浮気しただとかしてないだとかで。バッテリーが吹っ飛んだだけで携帯は幸い壊れなかったんだけど。
「なんかさ、あいつと別れてからずっとヘコんでて…毎日楽しくなくて。でもサッカーやり始めたおかげで救われたなって感じるんだよね、集中するモノができたっていうか」
俺は黙って頷いた。3年ぐらい付き合った彼女と別れたときのよっPの姿を知ってたし、気持ちも言いたい事も分かっていたから。
「こないだメシ食った時にさ、あの無口なタクちゃんまで一緒になってサッカーの話で熱くなって…なんかチームだな〜仲間ってイイなって本気で思ったんだよね」
それは俺も思った事だった。やっぱりお互いに同じ事を感じてたみたいだ、さすが同い年。なんだかスゲェ嬉しい。少しの沈黙、それから俺は我慢できずに声を出して笑った。
「ってかクサイね…」
「やっぱり?」
「青春ドラマみたい」
「俺も思った…」
顔を見合わせて今度は大笑い。ってか照れ笑い。真っ昼間の河川敷で、汗びっしょりになりながら、煙草とスポーツドリンク持って笑う2人。たまに通る自転車の学生や、犬の散歩のおばさんなんかはそれを見てどう思っただろう。
「最高のチームにしたいよな」
「そろそろ勝ちたいね」
辛いこと、悲しいこと、切ないこと、色々あるけど…今の僕らにはサッカーがある。言葉にするとちょっと照れくさいけどね。

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「小学生みたいだな俺ら」
「休日にサッカーしに河川敷くる20代も珍しいよな」
そう言いながらもけっこう真面目に練習。よっPはこないだの試合で自分の基礎の出来てなさに腹が立ったらしく、俺と休みが重なったらコッソリ2人で練習をしようと狙っていたみたいだ。
「とりあえずポストプレー出来るようになりたい」あまり足が速くなく、走りこむ体力も微妙ってことで、よっPはまずポスト役をこなそうと考えた。初心者のわりに足元は意外と上手い、長所を活かす作戦ってわけ。
「まずボールをしっかりと足元におさめることから、トラップの練習だな」強いボール、弱いボール、浮き球、どんなボールでもしっかりと自分のボールにできるように何度も繰り返し練習。ある程度出来るようになったら今度は来たボールをダイレクトで相手に返す。
かなりの長い時間、ずっと同じ練習ばっかりやっていたけど、全然飽きなかった。よっPがちょっとずづだけど確実に上手くなっていくのが嬉しくて楽しくて。
「そろそろ休憩しよっ」そう言って俺はよっPからのパスをトラップすると見せかけ、股を通してから右足インサイドに当てて方向転換、勢い良く反転してからボールを錆びてボロボロのゴールに打ち込んだ。
「イイなソレ!もう1回やってみて」
何度か手本を見せると、今度はよっPが挑戦。なんとかシュートまではもっていけるんだけど、ギコチない自分の動きによっPは不満そうな顔をした。
河川敷の階段に腰を下ろし、スポーツドリンクを飲みながら、芝なんだか土なんだか分からないようなボコボコのグランドを眺めて一服。汗をかいて火照った体に冷たい風が気持ちよかった。
「ココってアレだよな、花火した時だっけ?」なんだか遠い目をしながらよっPはセブンスターに火を点けた。
「あぁ、よっPが携帯破壊されそうになったトコだよな」ちょっと昔を思い出して苦笑い。
花火の時に元カノと喧嘩して、よっPは携帯を地面に思いっきり叩きつけられた、夏の始まりの頃。メールを見られて浮気しただとかしてないだとかで。バッテリーが吹っ飛んだだけで携帯は幸い壊れなかったんだけど。
「なんかさ、あいつと別れてからずっとヘコんでて…毎日楽しくなくて。でもサッカーやり始めたおかげで救われたなって感じるんだよね、集中するモノができたっていうか」
俺は黙って頷いた。3年ぐらい付き合った彼女と別れたときのよっPの姿を知ってたし、気持ちも言いたい事も分かっていたから。
「こないだメシ食った時にさ、あの無口なタクちゃんまで一緒になってサッカーの話で熱くなって…なんかチームだな〜仲間ってイイなって本気で思ったんだよね」
それは俺も思った事だった。やっぱりお互いに同じ事を感じてたみたいだ、さすが同い年。なんだかスゲェ嬉しい。少しの沈黙、それから俺は我慢できずに声を出して笑った。
「ってかクサイね…」
「やっぱり?」
「青春ドラマみたい」
「俺も思った…」
顔を見合わせて今度は大笑い。ってか照れ笑い。真っ昼間の河川敷で、汗びっしょりになりながら、煙草とスポーツドリンク持って笑う2人。たまに通る自転車の学生や、犬の散歩のおばさんなんかはそれを見てどう思っただろう。
「最高のチームにしたいよな」
「そろそろ勝ちたいね」
辛いこと、悲しいこと、切ないこと、色々あるけど…今の僕らにはサッカーがある。言葉にするとちょっと照れくさいけどね。
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