第20話 『10羽のウサギとカメ1匹』
綺麗に整備されたフィールド、その上に引かれた真っ白なライン。時間になって照明が灯ると、その姿がハッキリと目前に現れた。残念ながら芝ではないんだけど、ちょっとした観客席もあるし、市内では最も環境の良いグランドの1つ、花咲球技場。
「すげぇ、やっぱり広いですね」練習している小学校のグランドと比べると1.5倍以上の広さだ。ケイタはソレを見て子供みたいに無邪気な笑顔。
「え!?ペナルティエリアってあんなに狭いんですか?」初めてちゃんとラインの引かれたフィールドを生で見たカメが驚いてそう言った。
「狭いか?むしろ広いだろ」
「だって…あっ、もしかしてペナルティエリアって外側ですか?」どうやらカメはゴールエリアをペナルティエリアと勘違いしたらしい。気が付いて恥ずかしそうな顔をした。TVで見たことあるハズなのに、よっぽど緊張しているんだろう。でも、そのおかげでみんなの緊張は少し解れた、カメが笑わせてくれたおかげで。
試合は突然決まった。
知らない番号から携帯に着信があって、誰だろうと思って電話に出てみたら、以前サッカーコーナーで接客して仲良くなった人からだった。社会人のサッカーチームでやっている人で、今度練習試合でも…って感じで携帯番号を教えていたんだけど、木曜日にグランド予約取れたから練習試合しましょうって、いきなりの申し込み。もちろん俺は即答で「是非お願いします」と答えた。
それからみんなの予定を確認したら、調理師学校組とマッチョは大丈夫だったんだけど、ケンとケイタとカメ、アッチはバイトが入っていたので、店長にお願いしてなんとかシフトを変更してもらった。
「うぃ〜っす」ちょっと遅れてアタルとタクちゃんが登場、そして2人と一緒にワッタの姿も。
「久しぶりです…」そう言ってワッタは照れくさそうに頭を軽く下げた。最初の練習以来だからホントに久しぶりだ。
「やっと…ってかついに11人揃ったじゃん!」よっPとアッチが同時に同じ事を言って嬉しそうな笑顔。
「じゃあ…」言いながら俺は持ってきた『アズレプ様』と書かれたダンボールを開けた。「こいつの出番だな」
届いたばかりのアルゼンチンカラーのユニフォームをそれぞれに手渡すと、待ってましたとばかりにみんな受け取ってすぐにソレに着替始めた。
「ワッタ!」そう言って11番のユニフォームを渡すと、ワッタは驚いた顔で俺の顔を見た。
「これ…俺のですか?」
「もちろん、ちゃんと背中に名前入ってるから」バイトで練習にも試合にも参加できないかもしれないので、チームに加入できるか分からないってワッタは言ってたんだけど、俺は内緒でワッタの分もユニフォームを作っておいていた。
「マジッすか!?」広げると背中にWATTAの文字、すぐに袖を通して、ワッタは嬉しそうな顔。それを見て俺も満足な気分。10羽のウサギには、10枚のユニフォーム。
最後にグレイ色したGKユニフォームを取り出してカメに渡すと、カメはドキドキした表情でソレを広げた。
「良かった…MASAって書いてある…」何度もKAMEにしておいたよ、って俺が言ってたから、ホントにKAMEかもってドキドキしていたらしい。どうするか迷ったんだけどね、可哀想だから止めてあげた。
俺も自分のユニフォームに着替える。背番号9。
「タケちゃんの、Kは分かるんですけど、なんでK・J・TAKEなんですか?Jってなに?」カメが俺のユニフォームを見て不思議そうに尋ねた。
「みんなが接客の天才っていうからさ、天才、ジーニアスのJ」販売の得意な俺を調子に乗せるために、社員の人とかが接客の天才って呼び始めて、いつのまにかソレがあだ名みたいになってた。TAKEだとテイクみたいだし、なんだかつまらないのでJを挟んでみたってわけ。
「あぁ…あれ、でもジーニアスってGじゃないですか?」
「ウソ!?…」完全に勘違いだった。スノーボードのメーカーでジーニアスってのがあって、そのスペルが…多分もじってあってJから始まるから…間違った。
いきなりツッコまれてみんなに大笑いされてなんだか切ない気分になったけど、まぁ、イイかなって開き直ることにした。なんだかソレも愉快だし。全員がユニフォームに着替えるとテンションは一気に上がった。相手チームは少し遅れるみたいなので、先にアップを始めることに。
正装した10羽のウサギとカメ1匹、夜のグランドに飛び出していく。

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「すげぇ、やっぱり広いですね」練習している小学校のグランドと比べると1.5倍以上の広さだ。ケイタはソレを見て子供みたいに無邪気な笑顔。
「え!?ペナルティエリアってあんなに狭いんですか?」初めてちゃんとラインの引かれたフィールドを生で見たカメが驚いてそう言った。
「狭いか?むしろ広いだろ」
「だって…あっ、もしかしてペナルティエリアって外側ですか?」どうやらカメはゴールエリアをペナルティエリアと勘違いしたらしい。気が付いて恥ずかしそうな顔をした。TVで見たことあるハズなのに、よっぽど緊張しているんだろう。でも、そのおかげでみんなの緊張は少し解れた、カメが笑わせてくれたおかげで。
試合は突然決まった。
知らない番号から携帯に着信があって、誰だろうと思って電話に出てみたら、以前サッカーコーナーで接客して仲良くなった人からだった。社会人のサッカーチームでやっている人で、今度練習試合でも…って感じで携帯番号を教えていたんだけど、木曜日にグランド予約取れたから練習試合しましょうって、いきなりの申し込み。もちろん俺は即答で「是非お願いします」と答えた。
それからみんなの予定を確認したら、調理師学校組とマッチョは大丈夫だったんだけど、ケンとケイタとカメ、アッチはバイトが入っていたので、店長にお願いしてなんとかシフトを変更してもらった。
「うぃ〜っす」ちょっと遅れてアタルとタクちゃんが登場、そして2人と一緒にワッタの姿も。
「久しぶりです…」そう言ってワッタは照れくさそうに頭を軽く下げた。最初の練習以来だからホントに久しぶりだ。
「やっと…ってかついに11人揃ったじゃん!」よっPとアッチが同時に同じ事を言って嬉しそうな笑顔。
「じゃあ…」言いながら俺は持ってきた『アズレプ様』と書かれたダンボールを開けた。「こいつの出番だな」
届いたばかりのアルゼンチンカラーのユニフォームをそれぞれに手渡すと、待ってましたとばかりにみんな受け取ってすぐにソレに着替始めた。
「ワッタ!」そう言って11番のユニフォームを渡すと、ワッタは驚いた顔で俺の顔を見た。
「これ…俺のですか?」
「もちろん、ちゃんと背中に名前入ってるから」バイトで練習にも試合にも参加できないかもしれないので、チームに加入できるか分からないってワッタは言ってたんだけど、俺は内緒でワッタの分もユニフォームを作っておいていた。
「マジッすか!?」広げると背中にWATTAの文字、すぐに袖を通して、ワッタは嬉しそうな顔。それを見て俺も満足な気分。10羽のウサギには、10枚のユニフォーム。
最後にグレイ色したGKユニフォームを取り出してカメに渡すと、カメはドキドキした表情でソレを広げた。
「良かった…MASAって書いてある…」何度もKAMEにしておいたよ、って俺が言ってたから、ホントにKAMEかもってドキドキしていたらしい。どうするか迷ったんだけどね、可哀想だから止めてあげた。
俺も自分のユニフォームに着替える。背番号9。
「タケちゃんの、Kは分かるんですけど、なんでK・J・TAKEなんですか?Jってなに?」カメが俺のユニフォームを見て不思議そうに尋ねた。
「みんなが接客の天才っていうからさ、天才、ジーニアスのJ」販売の得意な俺を調子に乗せるために、社員の人とかが接客の天才って呼び始めて、いつのまにかソレがあだ名みたいになってた。TAKEだとテイクみたいだし、なんだかつまらないのでJを挟んでみたってわけ。
「あぁ…あれ、でもジーニアスってGじゃないですか?」
「ウソ!?…」完全に勘違いだった。スノーボードのメーカーでジーニアスってのがあって、そのスペルが…多分もじってあってJから始まるから…間違った。
いきなりツッコまれてみんなに大笑いされてなんだか切ない気分になったけど、まぁ、イイかなって開き直ることにした。なんだかソレも愉快だし。全員がユニフォームに着替えるとテンションは一気に上がった。相手チームは少し遅れるみたいなので、先にアップを始めることに。
正装した10羽のウサギとカメ1匹、夜のグランドに飛び出していく。
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