第24話 『諦メマセン』
「良いチームですね」前半が終了して引き上げるときに、審判をしていた人にそう言われて、俺はなんだか御満悦。スコアも3−1でリードしてるし。
「このままいけば絶対勝てますよ!」
初めて前半をリードしたまま終えて、ハーフタイムのウサギたちは朝の鶏みたいにハイテンション。極度の興奮状態だった。誰もが初勝利を予感して舞い上がっていた。
「あいつら上手いな…」ただ1人、ユアサだけが冷静な表情で、アップを始めた相手チームの控え組みの動きを眺めてそう言った。
ピッチでは前半、主審と副審をやってくれていた3人が軽いアップを始めていた。ユニホームではなく、緑色したビブスを着て。3人ともかなり上手そうな感じ。
「上手そうだなあの3人…」ユアサの隣に行って一緒に眺めてみる。
「あのアフロっぽい人がヤバイですね」さっきの主審の人だ。パス回しをしているだけなんだけど、明らかにレベルの高さが見て取れた。
「後半出てくるのかな…」
「出てきそうですね」
もう勝利を確信したようなムードの中、嫌な予感が胸を走った。もしかしたら本当の戦いはこれからなのかもしれない。
後半、予想通りラプターズはメンバーを入れ替えてきた。14番がセンターバックに入って、ボランチにはビブスを着たアフロ、他にビブスを着た奴らがトップと右サイドバックにそれぞれ代わって入ってきた。
「このまま勝つぞ!」もう1度円陣を組んで、アッチが気合を入れ直した。後半開始。
開始してすぐに、質の高い動きと技術でアフロが完全に中盤を支配し始めた。本職のセンターバックに入った14番が上手くラインをコントロールして、アズレプのFW陣をガンガンオフサイドに引っ掛ける。たのみのタクちゃんには右サイドバックに入った奴が対応して自由にプレーさせてくれない。完全に流れを持ってかれた。
そして後半8分、右サイドをオーバーラップしてきたビブスの7番がマッチョをキレイに抜き去ってフリーになった。真ん中では同じくビブスの10番が待ち構えている。
「10番!」声をかけたアタルとユアサが挟み込むように10番をマーク。だが、7番はかまわず10番に正確なクロスを送った。
ヘディング、そう思ってカメが身構えたが、10番はそのボールをユアサとアタルに挟まれながら胸でトラップ、落ち際を太ももで右にコントロールしてアタルをかわすと、そのままボレーでシュートを放った。タイミングを外されたカメは全く反応できずにゴールを許してしまった。いきなりの失点。
なおも後半12分、アフロのスルーパスから抜け出した10番がユアサを振り切ってカメと1対1に、良いタイミングで飛び出したカメだったが、シュートフェイントから股間を抜かれて同点ゴールを奪われた。
ハーフタイムの空気から一転、アズレプに重たい空気が流れた。
「まだです!取り返しましょう!」ケイタの言葉が虚しく響く。連続失点のショックと疲労から、みんなの動きは明らかに悪くなっていた。とくにワッタは久しぶりの試合なだけに、肩で息をしいて前半のようにボールをキープできない。
そして後半15分、簡単にDFラインをアフロに突破されて、アズレプは逆転された。悔しがってグランドに拳を叩きつけるカメ…
全員が下を向いて疲労に肩を震わせていた。絶望感が漂うグランド。俺も腰に手をやって俯いていた、逆転されたショックはデカい。
「顔上げろよ!まだ終わってないじゃん!絶対取り返せるって!」馬鹿デカイ声でアッチが叫んで、ボールを走ってセンターサークルまで待ってきた。「らしくないじゃん、諦めるなよ!」そう言って怒りにも似た表情で俺にボールを渡す。
「誰が諦めたって?」
「じゃあ、下向いてないで取り返してこいよ」
実際、俺は諦めかけていたのかもしれない。もうダメかもってどっかで思ってた。そんな自分がなんだか恥ずかしかった。
「まだ終わってないからな!取り返すぞおまえらっ!!」恥ずかしいからデカイ声でみんなに向かって叫んだ。俺は諦めてないって態度で示す。
「それでよし」アッチはニコッと笑ってそう言った。
ウサギたちはそれぞれに顔を上げて前を向いた。まだ諦めるには早すぎる。

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「このままいけば絶対勝てますよ!」
初めて前半をリードしたまま終えて、ハーフタイムのウサギたちは朝の鶏みたいにハイテンション。極度の興奮状態だった。誰もが初勝利を予感して舞い上がっていた。
「あいつら上手いな…」ただ1人、ユアサだけが冷静な表情で、アップを始めた相手チームの控え組みの動きを眺めてそう言った。
ピッチでは前半、主審と副審をやってくれていた3人が軽いアップを始めていた。ユニホームではなく、緑色したビブスを着て。3人ともかなり上手そうな感じ。
「上手そうだなあの3人…」ユアサの隣に行って一緒に眺めてみる。
「あのアフロっぽい人がヤバイですね」さっきの主審の人だ。パス回しをしているだけなんだけど、明らかにレベルの高さが見て取れた。
「後半出てくるのかな…」
「出てきそうですね」
もう勝利を確信したようなムードの中、嫌な予感が胸を走った。もしかしたら本当の戦いはこれからなのかもしれない。
後半、予想通りラプターズはメンバーを入れ替えてきた。14番がセンターバックに入って、ボランチにはビブスを着たアフロ、他にビブスを着た奴らがトップと右サイドバックにそれぞれ代わって入ってきた。
「このまま勝つぞ!」もう1度円陣を組んで、アッチが気合を入れ直した。後半開始。
開始してすぐに、質の高い動きと技術でアフロが完全に中盤を支配し始めた。本職のセンターバックに入った14番が上手くラインをコントロールして、アズレプのFW陣をガンガンオフサイドに引っ掛ける。たのみのタクちゃんには右サイドバックに入った奴が対応して自由にプレーさせてくれない。完全に流れを持ってかれた。
そして後半8分、右サイドをオーバーラップしてきたビブスの7番がマッチョをキレイに抜き去ってフリーになった。真ん中では同じくビブスの10番が待ち構えている。
「10番!」声をかけたアタルとユアサが挟み込むように10番をマーク。だが、7番はかまわず10番に正確なクロスを送った。
ヘディング、そう思ってカメが身構えたが、10番はそのボールをユアサとアタルに挟まれながら胸でトラップ、落ち際を太ももで右にコントロールしてアタルをかわすと、そのままボレーでシュートを放った。タイミングを外されたカメは全く反応できずにゴールを許してしまった。いきなりの失点。
なおも後半12分、アフロのスルーパスから抜け出した10番がユアサを振り切ってカメと1対1に、良いタイミングで飛び出したカメだったが、シュートフェイントから股間を抜かれて同点ゴールを奪われた。
ハーフタイムの空気から一転、アズレプに重たい空気が流れた。
「まだです!取り返しましょう!」ケイタの言葉が虚しく響く。連続失点のショックと疲労から、みんなの動きは明らかに悪くなっていた。とくにワッタは久しぶりの試合なだけに、肩で息をしいて前半のようにボールをキープできない。
そして後半15分、簡単にDFラインをアフロに突破されて、アズレプは逆転された。悔しがってグランドに拳を叩きつけるカメ…
全員が下を向いて疲労に肩を震わせていた。絶望感が漂うグランド。俺も腰に手をやって俯いていた、逆転されたショックはデカい。
「顔上げろよ!まだ終わってないじゃん!絶対取り返せるって!」馬鹿デカイ声でアッチが叫んで、ボールを走ってセンターサークルまで待ってきた。「らしくないじゃん、諦めるなよ!」そう言って怒りにも似た表情で俺にボールを渡す。
「誰が諦めたって?」
「じゃあ、下向いてないで取り返してこいよ」
実際、俺は諦めかけていたのかもしれない。もうダメかもってどっかで思ってた。そんな自分がなんだか恥ずかしかった。
「まだ終わってないからな!取り返すぞおまえらっ!!」恥ずかしいからデカイ声でみんなに向かって叫んだ。俺は諦めてないって態度で示す。
「それでよし」アッチはニコッと笑ってそう言った。
ウサギたちはそれぞれに顔を上げて前を向いた。まだ諦めるには早すぎる。
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