第25話 『ボールの行方』
ここはサン・シーロでもカンプ・ノウでも国立でもない。地鳴りのような声援を送るサポーターも、怒号のようなブーイングを送る観客もいない。小さな街の球技場、公式戦ですらない、ただの練習試合。
だけど、おれ達はそれこそ死にものぐるいで走り回った。体はもう思うように動いてはくれないぐらいに疲弊しきっていたけど、それでも座り込むわけにはいかないから。なんの価値があるのかなんて分からないけど、ただ勝ちたかった。
「もうパス来ても追いかけれないからディフェンスにまわる…タケがFWに上がってくれ」そう言ってよっPは中盤に下がった。
俺は相手のDFラインの手前で足を止め、そこで勝負の時を待つ。全速力であと何回走れるだろうか、その何回かを攻撃だけにかけてみる。絶対にチャンスはあるはずだ。
ずっと攻められ続けていたけど、DFラインとGKのカメがギリギリのトコロで失点を防いでいる。とくにカメは浅くなったDFラインの裏を、何度もタイミングの良い飛び出しでカバーしてた。
試合終盤、右サイドを相手に突破されそうになったけど、1度抜かれながらもケンが必死になってボールを取り返した。そのボールはよっPへ、とっさの動き出しでフリーになったケイタがよっPからのパスを受けた。
ケイタが敵を1人かわして、ルックアップした瞬間に目が合った。絶対くる、そう感じて動き出すと、ケイタは迷うことなく俺にパスを送った。
視界の端で相手14番が距離を積めてきてるのが分かった。まともな1対1だとぬけるかどうか微妙なところ。ケイタからの浮き球のパスはちょっと短くて、俺の1歩後ろでワンバウンド、俺はそのボールを右足のアウトサイドでフワッと浮かせた。一瞬、俺の体と重なってボールを見失った14番の反応が遅れる、ボールは14番の頭上を抜けた。俺は勢いよく反転してその横を駆け抜けると、目の前には広大なスペース。後はキーパーだけ。
このチャンスに全て込める気持ちで全力で走った。相手GKが悪くないタイミングで飛び出してきたけど、決めれるって予感、シュートコースがハッキリと見えた。だけどシュートを撃とうと思った瞬間、右足の踵に激痛が…後ろから追いかけてきたDFのスパイクで踏まれた感じになり、俺は態勢を崩した。
GKがもう目の前に、後ろからはDF。なんとかして撃たないと、これが最後のチャンスかもしれない。ホンの少しだけ、GKの足がボールに触るよりホンの少しだけ早く、俺のつま先がボールに触れた。交錯して目の前が一瞬真っ暗になったけど、すぐに体を起こしてボールの行方を追う。
コロコロと力なく転がったボールは、左ポストをかすめ、ゴール裏の暗闇に逸れていった…
それが本当に最後のチャンスだった。

★やっと更新できました★
☆コメント・感想、大歓迎です☆
★本日のお勧めブログ→FC JUVETATSU blog
だけど、おれ達はそれこそ死にものぐるいで走り回った。体はもう思うように動いてはくれないぐらいに疲弊しきっていたけど、それでも座り込むわけにはいかないから。なんの価値があるのかなんて分からないけど、ただ勝ちたかった。
「もうパス来ても追いかけれないからディフェンスにまわる…タケがFWに上がってくれ」そう言ってよっPは中盤に下がった。
俺は相手のDFラインの手前で足を止め、そこで勝負の時を待つ。全速力であと何回走れるだろうか、その何回かを攻撃だけにかけてみる。絶対にチャンスはあるはずだ。
ずっと攻められ続けていたけど、DFラインとGKのカメがギリギリのトコロで失点を防いでいる。とくにカメは浅くなったDFラインの裏を、何度もタイミングの良い飛び出しでカバーしてた。
試合終盤、右サイドを相手に突破されそうになったけど、1度抜かれながらもケンが必死になってボールを取り返した。そのボールはよっPへ、とっさの動き出しでフリーになったケイタがよっPからのパスを受けた。
ケイタが敵を1人かわして、ルックアップした瞬間に目が合った。絶対くる、そう感じて動き出すと、ケイタは迷うことなく俺にパスを送った。
視界の端で相手14番が距離を積めてきてるのが分かった。まともな1対1だとぬけるかどうか微妙なところ。ケイタからの浮き球のパスはちょっと短くて、俺の1歩後ろでワンバウンド、俺はそのボールを右足のアウトサイドでフワッと浮かせた。一瞬、俺の体と重なってボールを見失った14番の反応が遅れる、ボールは14番の頭上を抜けた。俺は勢いよく反転してその横を駆け抜けると、目の前には広大なスペース。後はキーパーだけ。
このチャンスに全て込める気持ちで全力で走った。相手GKが悪くないタイミングで飛び出してきたけど、決めれるって予感、シュートコースがハッキリと見えた。だけどシュートを撃とうと思った瞬間、右足の踵に激痛が…後ろから追いかけてきたDFのスパイクで踏まれた感じになり、俺は態勢を崩した。
GKがもう目の前に、後ろからはDF。なんとかして撃たないと、これが最後のチャンスかもしれない。ホンの少しだけ、GKの足がボールに触るよりホンの少しだけ早く、俺のつま先がボールに触れた。交錯して目の前が一瞬真っ暗になったけど、すぐに体を起こしてボールの行方を追う。
コロコロと力なく転がったボールは、左ポストをかすめ、ゴール裏の暗闇に逸れていった…
それが本当に最後のチャンスだった。
★やっと更新できました★
☆コメント・感想、大歓迎です☆
★本日のお勧めブログ→FC JUVETATSU blog

