第34話 『心地よい雨』
朝から小雨が降ったり止んだり、でも不思議と空は晴れていた。
久しぶりの当麻グランド、あいかわらず所々剥げた芝。雨に濡れ、太陽の光を浴びてキラキラと光って見えた。俺が着いた時にはすでにみんな集合していた。どうやら遅れをとったみたいだ。
「遅いよオーナー」アッチは気合十分といった感じで遅れてきた俺を急かした。今すぐにでも試合したいって、そんな顔。
反対側のベンチには、あのオレンジ色のユニホームたち。軽く挨拶をしに歩み寄る。
「久しぶりだね、ちょっと天気が微妙だから、怪我しないように気をつけようね」
「そうですね、グランドけっこうグチャグチャみたいなんで…気をつけましょう」
いつものように試合形式の打ち合わせ。今回は時間に余裕があるので、1時間アップをしてから試合開始ってことにした。もちろん45分ハーフだ。前回は大敗したけど、今回は11対11、絶対負けない気持ちで握手を交わした。
1時間のアップの中で、俺たちはグランドの感触を確認しながらパスを回したりフォーメーションの練習をした。初めての芝、しかも雨なので良く滑るし良く伸びる。みんなトラップやドリブルに苦戦してた。とくにGKのカメは予想外のバウンドに悪戦苦闘。
「遠くからでもガンガンシュート狙ったら入りそうですね」シュート練習で、ケイタはそう言ってわざとカメの手前でバウンドするようなシュートを撃った。跳ねずに伸びるボール、カメは前に弾くのがやっと。
「シュート撃たれたらやばいな…」
心地よい程度の雨だけど、どうやら試合には悪い影響を及ぼしそうだ。
「前回は1−5でボロ負けしてるけど、あの頃とは違うっての見せてやろうぜ…アズレプ、サイドチェンジ!!」
「おぉぉぉぉ!!」開始前の円陣もなんだか様になってきた気がする。それぞれのポジションに散らばるウサギたち。そして雨の中、試合は始まった。
序盤はほぼ互角の展開。リーグに加盟してるチームと今まで何度か試合をしてきて分かったんだけど、このファンタジスタってチームは、比べても遜色ないぐらいに強い。高校生中心なだけに良く動くし、チームとしてもまとまってる。
ファンタジスタはアズレプの両サイドの裏を狙って攻めてきた。前回はそれでトコトンやられている。けど、今のアズレプは前とは違う、マッチョもケンも簡単には裏を取らせないし、ユアサとアタルのフォローも早い。中盤はアッチを中心にワッタとケイタが動き回って自由にパスを出させない。思うように試合を作れずにファンタジスタは戸惑っていた。
「タクさん!!」ケイタからのロングボール、左に開いていたタクちゃんが前のスペースで勝負する。完全にワンステップ目でマークを置き去りにしたけど、水溜りで跳ねたボールは勢い良くサイドラインを割って飛び出してしまった。良いパスだったと手を叩くタクちゃん。
「予想以上に伸びるな…」ケイタはまだ感覚を掴めずにそう呟いた。
最初のチャンスはファンタジスタにおとずれた。グランドに足を取られたアタルが痛恨のクリアミス、拾った相手14番がフリーでシュート!
完全にヤラれたって思った。けどそのシュートをGKカメが奇跡のファインセーブ、大きく伸ばした右手でゴールの外に弾き出した。
「スゲェ反応良くなったなあのキーパー…」相手のDFがボソッとこぼした言葉を聞いて、俺はなんだか嬉しくてしょうがなかった。もうあのカメは震えない。
相手のCK、カメは無理にキャッチしようとはせず、パンチングでボールを前に叩き出した。
「ディフェンス、ライン上げよう」ボールをワッタが拾うと同時にアタルの声がかかり、DFがラインを押し上げる。ワッタはそのボールをドリブルでキープ、雨のグランドでも踊るようなステップで相手を翻弄する。左にポジションをとったタクちゃんを見ながら、ワッタは右サイドのケイタにアウトサイドでボールを送った。ロナウジーニョばりのノールック。ボールを受けたケイタがダイレクトでよっPにパス、そのパスをよっPは前に流すフェイントから、右足の踵に軽く当てて左前方のスペースに…
前半14分、そのボールに走りこんだ俺が中央を突破して、ボールをゴール右隅に蹴りこんだ。びしょ濡れのウサギたちが大喜びで歓喜の声。最高のパスを送ったよっPが俺に抱きついた。
「なんだよ今のパス?練習でも見たことないよ。最高じゃん!」
「奇跡的に成功した!自分でもビックリだ!」
心地よい雨の中、歓喜の輪。宿敵相手の先制点。

久しぶりの当麻グランド、あいかわらず所々剥げた芝。雨に濡れ、太陽の光を浴びてキラキラと光って見えた。俺が着いた時にはすでにみんな集合していた。どうやら遅れをとったみたいだ。
「遅いよオーナー」アッチは気合十分といった感じで遅れてきた俺を急かした。今すぐにでも試合したいって、そんな顔。
反対側のベンチには、あのオレンジ色のユニホームたち。軽く挨拶をしに歩み寄る。
「久しぶりだね、ちょっと天気が微妙だから、怪我しないように気をつけようね」
「そうですね、グランドけっこうグチャグチャみたいなんで…気をつけましょう」
いつものように試合形式の打ち合わせ。今回は時間に余裕があるので、1時間アップをしてから試合開始ってことにした。もちろん45分ハーフだ。前回は大敗したけど、今回は11対11、絶対負けない気持ちで握手を交わした。
1時間のアップの中で、俺たちはグランドの感触を確認しながらパスを回したりフォーメーションの練習をした。初めての芝、しかも雨なので良く滑るし良く伸びる。みんなトラップやドリブルに苦戦してた。とくにGKのカメは予想外のバウンドに悪戦苦闘。
「遠くからでもガンガンシュート狙ったら入りそうですね」シュート練習で、ケイタはそう言ってわざとカメの手前でバウンドするようなシュートを撃った。跳ねずに伸びるボール、カメは前に弾くのがやっと。
「シュート撃たれたらやばいな…」
心地よい程度の雨だけど、どうやら試合には悪い影響を及ぼしそうだ。
「前回は1−5でボロ負けしてるけど、あの頃とは違うっての見せてやろうぜ…アズレプ、サイドチェンジ!!」
「おぉぉぉぉ!!」開始前の円陣もなんだか様になってきた気がする。それぞれのポジションに散らばるウサギたち。そして雨の中、試合は始まった。
序盤はほぼ互角の展開。リーグに加盟してるチームと今まで何度か試合をしてきて分かったんだけど、このファンタジスタってチームは、比べても遜色ないぐらいに強い。高校生中心なだけに良く動くし、チームとしてもまとまってる。
ファンタジスタはアズレプの両サイドの裏を狙って攻めてきた。前回はそれでトコトンやられている。けど、今のアズレプは前とは違う、マッチョもケンも簡単には裏を取らせないし、ユアサとアタルのフォローも早い。中盤はアッチを中心にワッタとケイタが動き回って自由にパスを出させない。思うように試合を作れずにファンタジスタは戸惑っていた。
「タクさん!!」ケイタからのロングボール、左に開いていたタクちゃんが前のスペースで勝負する。完全にワンステップ目でマークを置き去りにしたけど、水溜りで跳ねたボールは勢い良くサイドラインを割って飛び出してしまった。良いパスだったと手を叩くタクちゃん。
「予想以上に伸びるな…」ケイタはまだ感覚を掴めずにそう呟いた。
最初のチャンスはファンタジスタにおとずれた。グランドに足を取られたアタルが痛恨のクリアミス、拾った相手14番がフリーでシュート!
完全にヤラれたって思った。けどそのシュートをGKカメが奇跡のファインセーブ、大きく伸ばした右手でゴールの外に弾き出した。
「スゲェ反応良くなったなあのキーパー…」相手のDFがボソッとこぼした言葉を聞いて、俺はなんだか嬉しくてしょうがなかった。もうあのカメは震えない。
相手のCK、カメは無理にキャッチしようとはせず、パンチングでボールを前に叩き出した。
「ディフェンス、ライン上げよう」ボールをワッタが拾うと同時にアタルの声がかかり、DFがラインを押し上げる。ワッタはそのボールをドリブルでキープ、雨のグランドでも踊るようなステップで相手を翻弄する。左にポジションをとったタクちゃんを見ながら、ワッタは右サイドのケイタにアウトサイドでボールを送った。ロナウジーニョばりのノールック。ボールを受けたケイタがダイレクトでよっPにパス、そのパスをよっPは前に流すフェイントから、右足の踵に軽く当てて左前方のスペースに…
前半14分、そのボールに走りこんだ俺が中央を突破して、ボールをゴール右隅に蹴りこんだ。びしょ濡れのウサギたちが大喜びで歓喜の声。最高のパスを送ったよっPが俺に抱きついた。
「なんだよ今のパス?練習でも見たことないよ。最高じゃん!」
「奇跡的に成功した!自分でもビックリだ!」
心地よい雨の中、歓喜の輪。宿敵相手の先制点。

