第22話 『蝶のように舞うウサギ』
この日、初めてアズレプは円陣を組んでみた。
「それじゃぁ…みなさん頑張りましょう…」
「……?」期待していたかけ声と違ったせいか、え?って顔でみんなが俺の方を見た。
「なんか、行くぞぉ!とかそういうのじゃないの?」
「熱すぎない?ってかキャプテンなんだからアッチがやろうぜ」
「なんて言います?」
「あの…早くしないと相手が待ってますよ」アタルの言う通り、ラプターズはすでにそれぞれのポジションに散らばって待っていた。
「なんでもイイから早く」
仕切り直しで今度はキャプテンマークを巻いた背番号7、アッチがかけ声をかけることに。でも、なかなか何て言うか決めれない。
「サッカーっぽいこと言えばいいから、早く!」
「えっと…アズレプサイドチェンジ!!」
「おぉ!!…?」夜のグランドに響くウサギたちの咆吼。でも、なんだサイドチェンジって…?意味不明なかけ声だったけど、不思議とみんな気合いの入った顔になってそれぞれのポジションに広がっていった。
やっぱりピッチに立つと普段の小学校のグランドとは全然違う。広さも照明も土も空気も雰囲気も。相手の年季の入ったユニフォームがやたらと強そうに見えた。ヒュンメルの濃いグリーン。
前半はアズレプボールのキックオフから始まった。
やはり緊張しているのか、なかなかボールがつながらない。それに対して相手は中盤の2人、14番と8番を起点にしてゲームを組み立ててくる。特に14番はサイドにボールを散らしたり、中盤でタメを作ったりしてやっかいだった。
だが、アズレプのDF陣は崩れない。アタルがケンに、ユアサがマッチョにそれぞれ指示を出してラインを整える。ケイタとワッタが走り回って簡単にはパスを出させない。FWの3人も積極的に前からプレッシャーをかけてディフェンスから流れを作る。アッチはアグレッシブなディフェンスで決定的な仕事を相手にさせない。
序盤戦は攻め込まれてはいたけど、悪い流れではなかった。
そして前半9分、マッチョが1度抜かれかけながらもなんとかボールを奪ったトコロからアズレプの攻撃が始まった。
マッチョは奪ったボールをフリーのワッタへ、ワッタは中央にボールを運びながらパスコースを探す。相手のボランチがプレッシャーをかけるが、ワッタは細かいタッチでいとも簡単にソレを抜き去った。だが、もう1人のボランチがタイミング良くカバーに入り、2人に囲まれてしまう。14番と8番に囲まれながら、ワッタは足の裏とアウトサイドを上手く使ってボールをキープ、踊るようなステップで囲まれたまま中央からやや右へ。
「ワッタ!」そう叫んだ瞬間、フォローに入ろうと下がった俺の頭上をボールがぬけていった。とっさに振り返ると、上がり気味になっていた相手DFラインの裏のスペースにボールが落ちていく、そこに走り込む背番号20の姿。タクちゃんは完全に相手を置き去りにして独走状態、そしてGKが飛び出そうとした瞬間を狙って得意の左足を振り抜いた。ボールはGKの脇をぬけてゴール右隅、サイドネットに突き刺さった。
一瞬の沈黙…そして歓喜の声。初めての先制点。左利きの20番は期待を裏切らない。
それでもまだ緑の恐竜たちは余裕の表情だった。声を掛け合ってマークとポジショニングを確認し合い、キックオフから、フィールドを大きく使ってボールを回し、焦りなく試合を進める。
アズレプは必死にボールを追っかけ回した。滑り込んで土まみれになってもすぐに立ち上がって走り出す。全員がまるでガットゥーゾ。
そして前半17分、またも左サイドでボールを受けたワッタがドリブルでボールをキープ、サイドに開いたタクちゃんを囮に中央に切り込んだ。右サイドでケイタの動きだし、だがワッタはそれも囮にして中央を持ち上がる。相手を焦らすようなドリブル、このウサギは蝶のように舞う。そして足裏でボールを引いたかと思うと、フワッと敵の意表を衝くようなパス。
またしてもDFの頭上を抜けたボール、今度は引かずにパスを待っていた俺はそのボールを胸トラップで前に落として、右サイドをドリブルでエグってからセンタリング。マイナス気味で上がったボールを、大外から走り込んでいたタクちゃんがダイレクトで蹴りこんだ。シュートはDFが出した足に当たって方向が変わり、逆を衝かれたGKをあざ笑うかのようにゴールに吸い込まれた。
信じられなかった。まだゲームは始まって20分も経っていないっていうのに2得点。しかも相手を崩しての得点だ。ラプターズにも焦りの表情が見えてきた。中盤の14番が「しっかりしろよ!」とDF陣にゲキを飛ばす。FWの奴らもなかなかシュートまで持っていけなくてイライラしている。
ウサギが恐竜の尻尾に噛みついた。

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「それじゃぁ…みなさん頑張りましょう…」
「……?」期待していたかけ声と違ったせいか、え?って顔でみんなが俺の方を見た。
「なんか、行くぞぉ!とかそういうのじゃないの?」
「熱すぎない?ってかキャプテンなんだからアッチがやろうぜ」
「なんて言います?」
「あの…早くしないと相手が待ってますよ」アタルの言う通り、ラプターズはすでにそれぞれのポジションに散らばって待っていた。
「なんでもイイから早く」
仕切り直しで今度はキャプテンマークを巻いた背番号7、アッチがかけ声をかけることに。でも、なかなか何て言うか決めれない。
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「えっと…アズレプサイドチェンジ!!」
「おぉ!!…?」夜のグランドに響くウサギたちの咆吼。でも、なんだサイドチェンジって…?意味不明なかけ声だったけど、不思議とみんな気合いの入った顔になってそれぞれのポジションに広がっていった。
やっぱりピッチに立つと普段の小学校のグランドとは全然違う。広さも照明も土も空気も雰囲気も。相手の年季の入ったユニフォームがやたらと強そうに見えた。ヒュンメルの濃いグリーン。
前半はアズレプボールのキックオフから始まった。
やはり緊張しているのか、なかなかボールがつながらない。それに対して相手は中盤の2人、14番と8番を起点にしてゲームを組み立ててくる。特に14番はサイドにボールを散らしたり、中盤でタメを作ったりしてやっかいだった。
だが、アズレプのDF陣は崩れない。アタルがケンに、ユアサがマッチョにそれぞれ指示を出してラインを整える。ケイタとワッタが走り回って簡単にはパスを出させない。FWの3人も積極的に前からプレッシャーをかけてディフェンスから流れを作る。アッチはアグレッシブなディフェンスで決定的な仕事を相手にさせない。
序盤戦は攻め込まれてはいたけど、悪い流れではなかった。
そして前半9分、マッチョが1度抜かれかけながらもなんとかボールを奪ったトコロからアズレプの攻撃が始まった。
マッチョは奪ったボールをフリーのワッタへ、ワッタは中央にボールを運びながらパスコースを探す。相手のボランチがプレッシャーをかけるが、ワッタは細かいタッチでいとも簡単にソレを抜き去った。だが、もう1人のボランチがタイミング良くカバーに入り、2人に囲まれてしまう。14番と8番に囲まれながら、ワッタは足の裏とアウトサイドを上手く使ってボールをキープ、踊るようなステップで囲まれたまま中央からやや右へ。
「ワッタ!」そう叫んだ瞬間、フォローに入ろうと下がった俺の頭上をボールがぬけていった。とっさに振り返ると、上がり気味になっていた相手DFラインの裏のスペースにボールが落ちていく、そこに走り込む背番号20の姿。タクちゃんは完全に相手を置き去りにして独走状態、そしてGKが飛び出そうとした瞬間を狙って得意の左足を振り抜いた。ボールはGKの脇をぬけてゴール右隅、サイドネットに突き刺さった。
一瞬の沈黙…そして歓喜の声。初めての先制点。左利きの20番は期待を裏切らない。
それでもまだ緑の恐竜たちは余裕の表情だった。声を掛け合ってマークとポジショニングを確認し合い、キックオフから、フィールドを大きく使ってボールを回し、焦りなく試合を進める。
アズレプは必死にボールを追っかけ回した。滑り込んで土まみれになってもすぐに立ち上がって走り出す。全員がまるでガットゥーゾ。
そして前半17分、またも左サイドでボールを受けたワッタがドリブルでボールをキープ、サイドに開いたタクちゃんを囮に中央に切り込んだ。右サイドでケイタの動きだし、だがワッタはそれも囮にして中央を持ち上がる。相手を焦らすようなドリブル、このウサギは蝶のように舞う。そして足裏でボールを引いたかと思うと、フワッと敵の意表を衝くようなパス。
またしてもDFの頭上を抜けたボール、今度は引かずにパスを待っていた俺はそのボールを胸トラップで前に落として、右サイドをドリブルでエグってからセンタリング。マイナス気味で上がったボールを、大外から走り込んでいたタクちゃんがダイレクトで蹴りこんだ。シュートはDFが出した足に当たって方向が変わり、逆を衝かれたGKをあざ笑うかのようにゴールに吸い込まれた。
信じられなかった。まだゲームは始まって20分も経っていないっていうのに2得点。しかも相手を崩しての得点だ。ラプターズにも焦りの表情が見えてきた。中盤の14番が「しっかりしろよ!」とDF陣にゲキを飛ばす。FWの奴らもなかなかシュートまで持っていけなくてイライラしている。
ウサギが恐竜の尻尾に噛みついた。
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コメント
マサキーン さん>
ウクライナ戦はホント楽しみですね。
シェフチェンコもちろん出ますよね?
出なきゃダメです。
シェフチェンコもちろん出ますよね?
出なきゃダメです。
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小野最近のリーグ戦でかなり気合はいってましたし、中田なんかテクニシャンなことしてましたし、松井は相変わらず調子よさそうですし、シェフチェンコ越えですよ☆WCでもしかしたら当たるかもしれませんしね^0^ではまた〜